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リオ五輪・陸上ナショナルチームトレーナー・田村有深歩さんに特別講演を行っていただきました!

2017.01.20 お知らせ

本日、日本陸上競技連盟医事委員会トレーナー部で活躍されている田村有深歩(たむら・ゆみほ)さんに、「夢の叶え方」をテーマに特別授業を行っていただきました。

田村さんは本校鍼灸学科の5期生、2008年の卒業生です。

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田村さんは、廿日市高校出身。高校生のときに、「スポーツトレーナーになりたい」、という夢を描き、どうせやるなら「オリンピック選手を支えるトレーナーとなり、オリンピックに行きたい!」とその夢を膨らませました。

先生から「鍼灸師になったらスポーツトレーナーになれる」と聞き、高校を卒業したら鍼灸師の資格が取れる専門学校へ、当時広島で1校だけだった本校へ進学するしかない!と、夢を叶えるため意志を固めていきました。

ところが、そこに思わぬ“待った”が。ご両親から、「専門学校は忙しい」、「短大に進学して、女子大生らしい生活も経験して」との意見で、専門学校進学を真っ向から反対されます。

自分で決めた夢の実現への道を否定され、親子関係にもヒビが入るほどでしたが、ご両親の、「本気の夢なら、大学卒業後でも必ず叶える努力をする」という言葉に思い直し、それなら「栄養学を理解したトレーナーになろう」と決意。地元の鈴峯女子短期大学栄養学科・栄養コースに進学します。

短大を卒業したら絶対に本校へ進学して、夢を叶える!という決意を固め直し、短大時代に学生トレーナーとして陸上のサポート経験を開始します。

この2年間は、短大の勉強だけではなく、「本気でトレーナーの勉強を頑張ろう」という気持ちを強めていくことにつながります。

そこで学んだことは、「無用の用」。

何事も無駄なことはない、ということ。この経験から、それ以後も、「取り組んでいることで、無駄と思うことも自分次第」と考え、何事にも力を抜かないようになっていったそうです。

短大での2年間、そして、晴れて本校に進学してからの3年間の合計5年間、学生トレーナーを続け、その間に今もサポートを続ける西条農業高校陸上部や、さらには陸上の広島県国体チームのサポートをするまでになります。

とはいえ、あくまで資格のない学生トレーナー。受付からアイスパック作りまで、資格なしでできる仕事を担当するなかで、何が役に立てるだろう、と考えるうちに、「細かいところへ気を配ること」と、「雰囲気を読み取ること」の大切さを身につけていくようになりました。田村さんは、この二点は、トレーナーに限らず、世の中で生きていくうえでも大切なことであるといいます。

そして、この経験から、「笑顔を大切にする」ことの重要性を、身をもって学んでいきます。

笑顔は、人に影響を与える行為。選手たちは、不安を抱えトレーナーズルームに来ることを察知し、「医療行為ができない自分たちができる最善のこととして、笑顔が一番似合うトレーナーになろう」と、そのとき決意したそうです。

専門学校時代は、授業のない午前と夜のアルバイトで学費を稼ぎながら、月の土日の半分は学生トレーナーの活動を続けます。ネガティブな言葉が口から出てしまうことは、学生にとって普通のこと。しかし、「ネガティブな感情に夢を押しつぶされてしまわないように」と思い直し、身近な先輩を「自分の将来像」であると、感情をコントロールして頑張り通します。

しかし、本校を卒業してスポーツトレーナーとなった後、ある大きな問題が発生。大好きなトレーナーを辞めざるを得ない局面に遭遇します。

そのネガティブな状況は、田村さんをスポーツ現場に戻すという、周囲の人々による努力の甲斐あって立ち直っていきますが、その経験は、「最も大事な夢を直視し、夢を優先できる貴重な機会」につながっていきました。

それ以後、夢へのギアをシフトアップ。夢を最優先で直視し続け、多くの経験と困難を乗り越えた結果、昨年(2016年)、リオ五輪の陸上ナショナルチームのトレーナーとして、高校時代に描いた、大きな大きな夢を叶えます。地方の広島での活動を続けながら、体育大学を出ているわけでもない自分が、わずか31名のオリンピックトレーナーに選ばれ、あの男子400メートルリレー・銀メダル獲得の感動を、チームの一員として一緒に味わうことができた…。

32年間の人生で、いうまでもなく一番の感動です!!!

さらに、トレーナーとしての、これまで一番「やっていてよかった」と思えた瞬間は、2015年の北京世界陸上での女子4×400メートルリレーでの8年ぶりの日本記録樹立。この時期は日本の女子陸上の低迷期で、自身も思うに任せないことも多くあり、心から「報われた」と思えた瞬間だったそうです。

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この経験から伝授された「夢を叶え方」のレシピは、

☆自分を見つめる

・自分の性格を知る

・未来で何をやりたいのか

・どんな自分でありたいのか

☆自分の夢を明確にイメージする

☆あらゆる事にわくわくした気持ちで取り組む

最後に、後輩の皆さんへ贈るメッセージとして、“「今」を大切に”という言葉をいただきました。

学生時代、この貴重な時期、皆さんにとっての“「今」”がなかったら、トレーナーにすらなっていなかったかも、と。

今日の授業は、夢を叶える「未来への入り口」。

「学生の皆さん、一人ひとりの夢を叶えるため、頑張ってください」と、最高の笑顔で締めくくられました。

田村先輩、本日は貴重なお話をありがとうございました!

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